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映画や舞台の英語

2008年10月 2日 (木)

「恋愛小説家」

Melvin: You make me want to be a better man.

 (メルビン:「君といると、ましな人間になりたいと思うんだ」)

  ~「As good as it gets」(「恋愛小説家」)

 
 これは素敵を超えた、素晴らしいセリフ!

 「You make me+動詞の原形」を定石どおりに訳すと「あなたは私に~させる」という表現になる。ここでの動詞は「want to~」だから、 「~したいと思わせる」だ。でも日本語で「自分に~させる」とは言わない。だから「したいと思う」と訳す方が自然だ。でもこうすると、「そう思わせてくれるのは、君の他にはいないんだ」という「you make me」のニュアンスが弱くなってしまう。というわけで日本語で同じ状況を考えると、「君といると」をつけると伝わりやすいと思ってつけてみた。

 これは恋愛小説の大家(ジャック・ニコルソン)が、ウエイトレス(ヘレン・ハント)に告白するせりふだ。彼は小説では女性への褒め言葉の達人なのだが、実生活では大の皮肉屋で人とまともにコミュニケーションが取れない人間なのだ。そんな男が言うから、さらに効果的(ニコルソンがいい!)

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2008年9月25日 (木)

cooking

Marin:"There was something cooking in the kitchen other than pancakes."

   ~「Something's Gotta Give」(「恋愛適齢期」)

 これは気の利いたいいセリフ。でも日本語でピタリと訳すのは難しい。ちなみにここまでの粗すじは:

 63歳の富豪ハリーは若い娘が大好き。娘ほど年の違う恋人マリンと週末を過ごすために、彼女の母親の別荘にやってくる。ところがそこへ母親のエリカが突然あらわれて気まずい雰囲気に。さらにハリーはその夜、心臓発作で倒れてしまう。結局彼は別荘で、療養生活を送ることになる。最初はハリーに嫌悪感を抱いていたエリカだが、彼のピュアなハートにだんだんと親しみを覚えるようになる。ある晩、眠れない2人がキッチンでパンケーキを作りながらいい雰囲気になっているところへ、マリンが様子を見にやってくる。上のセリフはハリーから身を退くことにきめたマリンが、翌日母親にハリーとつきあうようにすすめるところで出てくる。

 これは直訳すると、「キッチンではパンケーキの他にも、何かが出来上がっていた」という意味になる。ポイントは「There is something cooking」という言い回しで、これには「何かが起こっている」という意味がある。つまりこのセリフでは「パンケーキを作る」という意味の「cooking」と、「2人の間に何かが起こる」という意味の「cooking」をかけているのだ。日本語なら「2人でパンケーキ作りながら、いい感じだったじゃない」と言うところを、「cooking」一言でちょっと洒落た言い回しにしているのだ。

ハリー役のジャック・ニコルソンがいい味出してます(エリカ役はダイアン・キートン)。

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other than~:~の他に

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2008年9月 8日 (月)

よくあるプロット、でもいいセリフ

Kate: The plan doesn 't make us great, Jack. What we have together,that's what makes us great.

(ケイト:「計画で幸せになるのではないわ。2人でいることが幸せなの」)

 (「天使がくれた時間」The Family Man」)

 ニューヨークの大手金融会社社長として成功を収めた独身のジャック。彼は天使の力で、昔別れた恋人との結婚生活を体験することになる。そこには成功は小さくとも、家族に囲まれた大切な日々があった。

 上のセリフは映画の冒頭、空港での別れのシーンで出てくる。2人の将来のために、計画通りにロンドンでのビジネス研修に発とうとするジャックに、彼を引き留めようとケイトが言った一言。ケイト役のティア・レオーニがかわいい。

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make us great:2人を幸せにする
what we have together:2人でいること
That's what make us great:2人を幸せにするものは、それ(That=What we have together)だ。
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2008年9月 1日 (月)

大人だって言ってほしい一言

 アラン・アーキンが好きなので、「リトル・ミス・サンシャイン」(Little Miss Sunshine)を借りてくる。  

 アーキン演じるおじいちゃんは、迷ゼリフと名ゼリフがいっぱい。なかでも孫のオリーブを丸ごと愛してるというこのセリフは、何気なく素通りしてしまいそうな言い方だが、その深さは圧倒的だ。

Olive: Grandpa, am I pretty?

Grandpa: You are the most beautiful girl in the world.

Olive: You’re just saying that.

Grandpa: No! I’m madly in love with you and it’s not because of your brains or your personality.

オリーブ:   おじいちゃん、わたし可愛い?

おじいちゃん:お前は世界中で、一番かわいい子だよ。

オリーブ:   ただそう言ってるだけでしょ。

おじいちゃん:ほんとだよ! お前がかわいくてしょうがないんだ。それも頭がいいとか、性格がいいからとかじゃないんだ。

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madly:madly in love with~:~に首ったけ
because of~:~という理由で

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2007年12月 6日 (木)

 HPの過去ログ(「英語と映画とお芝居と」)をすべてこちらにまとめることにしました:

(5-7-'07)
 前に映画のタイトルについて書いたが、ビリー・ワイルダー作品の邦題には洒落たものが多い。「アパートの鍵貸します」は、原題"The Apartment"よりずっと気が利いてる。「お熱いのがお好き」は"Like It Hot"のほとんど直訳だが、うまくまとめたものだと思う。自分だったら「Some」にこだわって、「情熱的なのが好きな人もいる」という直訳から抜け出せないだろう。「七年目の浮気」の原題"The Seven Year Itch"の「itch」は、ムズムズする感覚のこと。結婚7年目あたりで頭をもたげてくる浮気心のことだ。これも「心」をとって、「浮気」とシンプルにしたのは成功だろう。

 「ワイルダーならどうする」(キャメロン・クロウ著、キネマ旬報社)では、これらの名作に対する思いや逸話、自身の生い立ちがワイルダー自身の声で語られている。それも単なる記録ではなく、対談の間に入る奥さんとのやり取りや動作の描写が絶妙で、まるでワイルダーが目の前で語っているような気がしてくる良書だ。エピソードも豊富だが、驚いたのはビリー・ワイルダーが「シンドラーのリスト」を映画化したいと思っていたことだ。彼自身ユダヤ人であり、家族を収容所でなくしているのだった。ちなみにワイルダーは「私が作ったなら、違ったものになっていただろう」と言いつつも、「スピルバーグはすごい仕事をした」と彼の作品を認めている。

 映画ファンにはお勧めです(中身も濃いが製本もデカイ)。

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(4-29-'07)
 アメリカ映画について、長いこと疑問に思っていたことがある。「アメリカンニューシネマ」というのは、はたして英語でもそう言うのかということだ。ハワイでもアメリカ本土でも、そんな呼び方は一度も聞いたことがなかったからだ。日本の配給会社がプロモーションのために考え出したのではないか、とずっと思っていたのだ。

 ちょっと苦労したが、ネットでようやく見つけた。英語では「New Hollywood」*と言うのだった。ただ実体験で記憶している「ニューシネマ」の作品と、日本語のサイトで「ニューシネマ」として紹介されている作品、そしてアメリカのサイトで「New Hollywood」として挙げられている作品群が、微妙に違うのが面白い。記憶や記録とはそういうものかもしれない。

 「アメリカンニューシネマ」の中で以外だったのが「卒業」**だ。リアルタイムでは見なかったのだが、「感動青春映画」だとばかり思っていたのだ(サイモン&ガーファンクルの音楽と、花嫁を連れ去るラストシーンしか知らなければそう思うでしょ)。ようやく見たのは大学生になってからだ。異文化圏の生活で感覚が変わっていたせいか、ハワイのテレビで見た「卒業」は完全なコメディだった。

 映画の印象は、見たときの年齢や環境によってだいぶかわると思う。

*「Hollywood」:「Holly」は柊(ひいらぎ)。Hollywoodとはつまり「柊の森」。「聖林」というのは、「holly」を「holy(聖なる)」と勘違いして生まれた誤訳。
**「卒業」:原題"The Graduate"は、正確には「卒業生」という意味。

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(4-16-'07)
 英語には「発音」(pronunciation)とは別に、「明瞭に話す」という意味の単語が三つもある(articulation/diction/enunciation)。日本語だと「滑舌」くらいだろうか。音がつながる英語は、それだけ「不明瞭になりやすい言葉」なのだろう。

 この「明瞭に話す」という点は、シェークスピア劇では特に重要になる。これは映画化の場合も同じだ。現代物の映画なら俳優が(「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランドのように)ボソボソ話しても個性になるが、シェークスピアの場合はセリフ自体、「聴かせるもの」だからだ。

 「ノーカットで、古典的演出で、できればイギリス人俳優で、しかも飽きずに、シェークスピア英語を聴きたい」という人には、ケネス・ブラナーの「ハムレット」がお勧めだ。シェークスピアの名優(デレク・ジャコビー)から実力派スター(ケイト・ウィンスレット)、さらにはハリウッドのベテラン(ジャック・レモン)から中堅(ロビン・ウィリアムス)まで集めた「超豪華キャスト」が、最後までぐいぐい見せる(・・ただし4時間あります、念のため)。ハムレットというとただ悶々としているイメージがあるが、ケネス・ブラナーのハムレットは悶々としながらも常に動いている。

 中でも(あまりに有名な)「To be,or not to be...」(生きるか死ぬか・・・)という独白の場面は、演出も素晴らしい。ハムレットは鏡に向かって独白しているつもりなのだが、これが実はマジックミラーになっていて、その裏には敵であるクローディアスが隠れている。後者にしてみれば、胸ぐらをつかまれて「お前を殺して俺も死のうか」と言われているようなものだ。

 他にも様々な演出上の工夫をこらし、最初から最後まで緊張を維持したすぐれたハムレット映画だ。「古典に忠実ノーカットで頑張ってみました」というだけの作品ではない。シェークスピア英語だけでなく、シェークスピア劇への入門編としてもお勧めだ。

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(4-12-'07)
 英語が便利なのは、略称と正式名称が結びついていることだ。例えば「OPEC」=「Organization
of the Petroleum Exporting Countries」と、すぐに出てくる(「石油輸出国機構」では、標記も音も何の関連もない・・)。これが3文字になるとリズムもいい。そのせいかスポーツの世界では「MLB」、「NFL」、「NBA」など、のきなみ3文字だ。

 リズムがいいということは、ジョークにも使いやすいということだ。犯罪映画やサスペンスでは「CIA」と「FBI」の二つがよく出てくるが、これをうまく使ったコメディ映画のワンシーンがある。

 「ハドソン河のモスコー」は'84年の作品だが、これがロビン・ウィリアムスのベストだと今でも思っている。それほどいい。この映画で彼が演じるのは、ソ連のサーカス楽団でサックスを吹くミュージシャン、ウラジミールだ。彼はアメリカ公演でニューヨークを訪れ、買い物に寄ったデパートの中で亡命するのである。あこがれだった自由を手に入れたものの、暮らしは決して楽ではない。己のサックスの実力を思い知り、安アパートに暮らし、時には泣いて時には笑い、ご飯を食べ、ガールフレンドを抱き、雑多な人種の関わりの中で毎日を必死に生きていく。大作ではないが、涙と笑いの佳作である。

 略称のシーンは、本筋とは関係のないところで出てくる。亡命してほどなく、彼は街中で尾行されていることに気づく。まくこともできず、逃げる場所もなくなり、とうとう彼は追いつめられる。そして怯えながら、男にこう尋ねる:

 「FBI? CIA? KGB?」

 男はけげんそうに聞きかえす:

 「FBI? CIA? KGB?」

 そして表情を軟らかくしてこう答える:

 「No,・・・G(ジー)A(エー)Y(ワイ)」=ゲイ(GAY)!

 一瞬「?」という間があって、あわてて否定するリアクションがおかしい。

 なおこの映画はウラジミールをはじめ、主要なキャラクターがすべてマイノリティだ。ガールフレンドはイタリアからの移民、親友は黒人、弁護士はキューバからの亡命者などなど。そういう意味では様々なアクセントを聴ける映画でもある。

~~~~
・「MLB」(Major League Baseball)
・「NFL」(National Football League)
・「NBA」(National Basketball Association)
・「CIA」(Central Intelligence Agency*~アメリカ中央諜報機関):Intelligenceには知能のほかに、諜報という意味もある。
・「FBI」(Federal Bureau of Investigation~連邦捜査局):Bureauは「JTB(Japan Travel Bureau)」と同じ、官省の局を表す

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(4-9-'07)

 映画の片仮名タイトルは嫌いではないが、長いのはやはり違和感がある。「ダンス・ウィズ・ウルブス」は、いまだに「ウルブズ」か「ウルブス」かあやふやだ。「フィールド・オブ・ドリームス」も大好きな映画だが、タイトルのせいで今いち印象が薄い。「ホワット・ライズ・ビニース」になると、もう投げやりでつけたんじゃないかとさえ思ってしまう。ちなみにこれは「真下に(ビニース~beneath)横たわる(ライズ~lies)もの(ホワット~what)」、つまり背後に隠された真実という意味だ。

 惜しいのは、ジョニファー・ロペスの「メイド・イン・マンハッタン」(Maid in Manhattan)。邦題としての語感も悪くない。ただ英語の掛けことばが隠れてしまったのだ。この映画ではジェニファー・ロペス演じるメイド(ベッドメイク係)がマンハッタンのホテルで働いており、このホテルを舞台にシンデレラのような恋物語が成就する。つまり「Maid in Manhattan」(マンハッタンのメイド)と、「Made in Manhattan」(マンハッタン製)をかけているのだ。だがカタカナにしてしまえば、両方とも同じ「メイド」になってしまう。「マンハッタン」だけで十分洗練された感じがするので、「恋」とか「ラブ」をくっつけてもよかったかもしれない。

ps:メイドと言えば、今はやり(?)のメイド喫茶にいるのも同じ「maid」。

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(4-6-'07)
 言葉の響きで好きな英単語がある。「eternity」だ。「永久(とわ)」という意味と響きがあいまって、未来永劫に続いていきそうなイメーイがある。それに神聖な感じもする。

 「レディホーク」ではこの言葉が、とてもせつない状況で使われる。ミシェル・ファイファー演じる宮廷の美女は、騎士団の隊長と愛し合っている。しかし彼女に熱をあげる枢機卿は、二人に呪いをかけて領土から追放する。この呪いの設定が実にうまい。女は昼のあいだ鷹となり、男は夜に狼となってしまうのだ。もちろん動物になっている間の記憶はない。つまり:

 「they are forever together,but eternally apart」 
(二人は永遠に一緒だが、永久に離ればなれなのだ)
 なんと切ない一言であろうか!

 もちろん呪いをかけられっぱなしでは、話しにならない。呪いを解く方法が一つだけある。それは「夜のない昼と昼のない夜(a
day without a night and a night without a day)」に3人が人間として対峙することだ。はたしてそんなことが可能なのか・・・。中世や騎士が出てくる映画は苦手だが、この一本だけは別。冒険大活劇&ラブファンタジーの隠れた傑作!

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(3-30-'07)
 テレビではエビちゃんがマックをほおばりながら、「I'm loving it!」と微笑んでいる。CMコピーは造語もありだが、この「loving
it」は英語としてはどうなのだろう。

 原則として「love」や「like」など、感情をあらわす言葉は進行形にはならない。ただし一時的な状態や、今この瞬間感じていることを強調するときにはOKだ。つまりこの「I'm loving it」は、「マックを食べてるこの瞬間がしあわせ!」、という気持ちを伝えているのである。ただ実際に食事中に「おいしい」というときは、やはり「I love it」や「This is Great」。「I'm loving it!」ではまさに、CMで「XXに夢中!」と言っているように聞こえる(ちなみにおいしいときの表現を学ぶなら、外国人ゲストが出たときの「SMAP×SMAP」が最適だ)。

 「loving」や「liking」はブロークンイングリッシュの典型でもある。「グッドモーニングベトナム」で、ロビン・ウィリアムスが女の子目当てに偽英会話教師となって、成人学校にもぐりこむシーンがある。最初はけげんそうに見ていた生徒達も、爆笑レッスンで彼が大好きになる。そして帰り際におばちゃんの生徒がこう声をかける:

 「Mr.Cronauer, I really liking you」

 頭の中はすでに女の子のことしかないロビン・ウィリアムスはてきとうに返す:

 「I'm liking you,too」

 「話したいのはあの子の方なんだよ!」、という心の声が聞こえてきそうなやりとりではある。

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(3-26-'07)

 名子役は世代ごとにあらわれるようだ。今はダコタ・ファニング、一昔まえならマコーレー・カルキン、二昔まえならドリュー・バリモアだ。カルキン坊やの現在はよく知らないが、ドリュー・バリモアはすっかり大人の女優になった。幼くしてスターとなり、麻薬に手をそめてしまうという話しはよく聞くが、カムバック後に俳優として成功する例はあまりきかない。彼女が10代前半で書いた手記(「Little Girl Lost」~失われた少女)は、アマゾンレビューで今も軒なみ5つ星。その後のがんばりがあるからだろう。

 リハビリを終えて間もない頃、彼女が本のプロモーションも兼ねてトークショーに出演した。15かそこらで麻薬のリハビリを終えてテレビに出るというのもすごいが、アメリカの視聴者は困難を克服した者にはあたたかい(たとえそれが自分の弱さからだったとしても)。いつもはジョークを連発する司会者も、この日は親身になって話しを聞いていた。そして最後に本を紹介した彼は、彼女の手を握ってやさしく言った:「hang in there」。

 「hang in there」は「がんばれ」という意味だ。特に困難な状況にいる人に対して、「くじけるな」、「耐えぬけ」という意味でつかう。「hang」はぶら下がるという意味だから、まさに崖っぷちから必死ではい上がろうとする人を励ます言葉なのだ。日本語の「がんばれ」よりも、相手の苦境に寄りそったニュアンスを感じる。シンプルだが、好きな英語表現の一つである。

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(3-21-'07)

 「a」と「the」は、英語学習者にとって永遠の壁だ。大学時代のレポートは、必ずネイティブの友人(それも英語の先生)に見てもらってから提出していた。にも関わらず、「a」と「the」は赤ペンでチェックされて返ってくるのだ。留学生という先入観があるからだろう。こうなると究極的には個人の感覚ではないか・・・。

 とは言っても基本的なルールはあり、「a」と「the」 のあるなしで意味が全然ちがってくることもある。<BR>

 「ロマンシング・ストーン」という映画がある。このタイトル、なんとなくありそうではある。しかしこのままだと「夢みる宝石」という意味になってしまう。しかし宝石が夢をみるというのはおかしい。夢をみるのはあくまで人である。つまり「romance」の後ろには、夢をみる対象として(つまり「宝石[を]夢みる」という表現になるように)ストーンをくっつけなければならない。だから「ロマンシング・ストーン」という、一つの言葉にはならない。

 実はこの映画の原題は、「Romancing [the] Stone」である。Stone の前にthe がついて、区切られているのだ。これではじめて「宝石[を]夢みること」(=「宝石にまつわる夢物語」)という意味になるのである。theが入るだけでこんなに意味がかわるのだ。

 たかが、されど「the」 なのである。
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(3-15-'07)

 「あの人は英語ができる」というと、何でもこなせそうな感じがする。しかし日本語で苦手なことは、実は英語でも苦手である。例えば自分は推理ものが苦手だが、日本語でもついていけないものを英語で理解できるわけがない。これは語学力というより、心理的な問題だろう。一番ひどかったのはホノルルの映画館で「ロシアハウス」を見たときだ。ショーン・コネリーとミシェル・ファイファーの顔合わせにひかれて「挑戦」したのだが、15分くらいで集中力が切れてしまった。そのあとは「ダンテがどうした」「ダンテがこう言った」とダンテという名前がインプットされただけだった(英語でバリバリ、インプロをやっていた頃にですよ!)。

 そんな自分にも、唯一わかった推理映画がある。ハリソン・フォードの「推定無罪」である。なぜわかったか。映画が始まって早々に、自分には犯人がわかってしまったからである。推理映画は犯人がわかるとこんなに筋を追いやすのか、と思ったものだ。ただ(あたりまえだが)2時間ちっとも楽しめなかった。

 トリックがかんたんで、しかし犯人はわかりにくい推理映画はないだろうか・・・。
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(3-14-'07)

 終わったばかりだが、昔からアカデミー賞(アメリカのです)の授賞式はやたら長い。最後までずっと見ている人は何人いるのだろうか?ずっと前にサタデーナイトライブ(お笑い番組)で、こんなオスカー予想コントがあった。映画評論家がフリップに貼った録音賞、編集賞、助演賞などの候補者名を、「こんなのどうでもいいよ」(Who cares!)と次々すてていき、主演賞と作品賞だけ予想しておしまいなのだ。すごいね(でも気持ちはよ~く分かる)!

 アメリカでは誰がホスト(司会者)になるかも、ちょっとした話題になる。長く退屈な場面が多い割に、世界中が注目するショーだから、選ばれる方も大変だ。クリス・ロック('04年)は「すごいプレッシャーだよ。去年の今ごろは頭がおかしくなりそうだった」(It's a lot of pressure. This time last year, I was losing my mind.&quot;*1)とコメントしているし、8度もホストをつとめたビリー・クリスタルも、「責任重大の大仕事だ。世界中がみているんだ。荒波に出て行くようなものだ」(&quot;It's a big show. It's a big responsibility. There's a world watching and the world is a rough room*2.&quot;と言っている。

でもきわめつけは2度つとめているスティーブ・マーチンの一言:<BR>
「やるんじゃない!」(don't do it!)...........
*1:lose my mind=頭がへんになる。
*2:roughには海や空模様が荒れるという意味があり、roomには場所という意味もある。つまりそれだけ厳しいところという意味。
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(3-12-'07)
 映画やドラマを見ていると、洒落た口語表現をよく耳にする。しかし実際に暮らしてみれば、日常でそんなに粋な表現を耳にするわけではない。それはそうだ。映画やテレビは数日から、ときには何十年という時間を凝縮してみせるわけだから。それにみんながみんな、言葉のセンスを持っているわけでもないし。

 演劇をやっていた身としては、洒落た言い回しよりも場面に応じた言葉使いの方が興味があった。レッスンでやらされる即興では、どんなシチュエーションが出てくるわからないからだ。特に刑事物や法廷物はとても役だった。経験の浅い学生が即興をすると、警官と泥棒という安易なシチュエーションになりがちだからだ(間違ってもビジネスミーティングなんて状況にはならない)。犯人逮捕の場面なら、「お前には黙秘権がある(you have the right to remain silent)」の一言だけでリアリティが出る。法廷の場面なら「休憩します(take a break)」ではなく、ちゃんと「休廷します(take a recess)」と言いたい(「異議あり!(objection!)」、「意義を認めます(sustained)」、「却下します(overruled)」、とか言ってよろこんでた留学生は私くらいか?)。

 しかしよく考えたらむこうの学生だって、こういう表現はテレビで学んだはずだ。経験で学んだとしたら、そりゃ前科者ということだもの・・・。ネイティブだって、テレビや映画で体験値を補うことはあるのだ。

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(3-10-'07)
be動詞は一見シンプルだが、ときに翻訳できない味わいも持っている。

 アメリカ映画の宣伝コピーで、 ”Tom Hanks is....Forest Gump&quot;といった表現がよく使われる。10年くらい前これをそのまま日本語にして、宣伝に使っていたことがある。「トム・ハンクスは・・・フォレスト・ガンプ」や「ジョディ(フォスター)は・・・・ネル」というように。

 これがどうもしまりがない(特に耳で聞くとそうだった)。英語の「is」にはそれだけで、「トム・ハンクスはフォレストガンプそのものなんだ」と言い切るニュアンスがある。そんな力強さがある。「では、見てみます」という気持ちになる。ところが日本語の「は」、ただの「は」だ。「だからどうしたの」という感じである。もちろん厳密にいうと「is」は、「は」ではなく「です」である。だからといってこれを文末につけても効果はない。「トム・ハンクスはフォレスト・ガンプです」、・・・ただの紹介文である。

 宣伝効果もなかったのか、このコピーは数年で聞かなくなった。10代の映画ファンが当時のチラシなどを見ると、「何このセンテンス?」と思うかもしれない。

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(3-6-'07)
 自分にとってのスクリーン・ヒーローは、なんといってもスティーブ・マックイーンである。とにかくかっこいい。「荒野の七人」や「大脱走」といった代表作ももちろんだが、「砲艦サンパブロ」の抑えた演技もいい。中学生の時に「荒野の七人」をテレビでやった時は、カセットに全編録音した。もちろん日本語のみの放送だ。それを何度も聞きかえしては、シーンを思い返していたのだ(これを英語でやっていたら、リスニングはもっと早く上達したのだろうか?)。

 映画のなかでマックイーンと農夫の一人が、盗賊の襲撃に備えて見張りに立っている場面があった。農夫は家族や村を守るために、銃を手にしたのはいいが、緊張で手に汗をかいているという。そんな男にマックイーンは、「お前、立派だよ」という。アップテンポな映画の中では、静かなシーンで印象に残った。そしてこのセリフは一匹狼のガンマンが、家庭持ちの農夫の勇気を称えているのだとずっと思っていた。

 それから数年後、ハワイのテレビでこの映画を見た。そして同じ場面でマックイーンが言ったセリフは「I
envy you」だった。「envy」というのは、「うらやましい」という意味である。では何がうらやましいのか。闘いを前に緊張するという、自分がすでに失ってしまった人間としての健全な反応を、「うらやましい」と言ったのである。ガンマンとして生きることの孤独が、この一言で伝わってくる。

 原語と違うからと言って、日本語訳を非難しているわけではない。そこには訳者なりの意図があったのだろう。それはそれで味があった。

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 高校生のとき「バイオニック・ジェミー」という、美人のサイボーグが主人公のドラマをやっていた。第一話のタイトルは「バイオニック・ジェミー誕生」だったが、画面にうつった原題は"Welcome Home,Jaymie"という、シンプルなものだった。それから毎回、原題と邦題をくらべるようになった。ビデオなんてなかったので、毎回ペンとメモを用意して待っていた。「ゴールドマン局長暗殺指令」が"Kill Oscar"だったときは、「原題の方が、シンプルで迫力があるな」と思った。
 自分が英語に興味を持つようになったのは、これが最初だったと思う。きっかけなんてそんなものだ。

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(2-4-'07)
 桂枝雀は長いあいだ、英語落語に取り組んでいた。その体験から「外国人の耳に自分の英語は、どう聞こえているのだろう。それをもう一度日本語に直して落語にしてみたら、おもしろいのではないか」と考えた。これがけっこうおかしい。

 「ムカシ、ニホンニ イマシタ。タクサンノ ギョーショーニン。ギョーショーニン。モノウルヒトデス。ハナヤサン、イイマス、『アナヤー、アナ』(自分では「花」といっているつもりでも、向こうには「穴」と聞こえているんじゃないかというのだ)。<BR>
 実は自分が初めてシェークスピアに挑戦したとき、クラスメートに「5%しかわからない」と言われた。「アナ」どころではない、とんでもない「しろもの」だったのに違いない・・・。

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(2-23-'07) 
「英語の体験値」②
 「英語の体験値」のもう一つの効果は、体験の前後にその体験について、英語で考えるようになることだ。例えば好きな人をデートに誘おうとする。すると事前に「どこで、どんな風にいおうか」、といろいろ思案する。逆に断られたときには、後から「あの言い方がまずかったのだろうか」などと振りかえる。つまり日本にいるときは日本語でシミュレーションしたり、思い返したりしていることを、英語でやり始めるのである。

 個人的には語学の定着には、この「学んでいる言葉で考える」という習慣がかなり重要だと思う。こういった「反芻」も、その場の空気や相手の表情などを、身体全体で「体験」しているこそから生まれることだろう。

 映画の場面を演じても、「反芻」まで与えることはできない。それでもセリフを暗記し、相手も含めた空間すべて感じながら演技をすることは、濃い疑似体験を与えてくれる。

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(2-22-'07)「英語の体験値」①
 一口に海外生活といっても、その国のすべてを体験できるわけではもちろんない。留学といっても、学部生の場合は授業で話すこともそれほど多くはない。学生同士でそれほど難しい話はしないし、日常会話にプラスアルファの表現力を身につけるには、英語の「体験値」を広げる必要がある。

 実は演じるという行為が、この体験値をおぎなってくれる。ドラマや映画の鑑賞も確かに役には立つが、特定のキャラクターとなって能動的に取り組んだ言葉とは、からだへの浸透度がまったく違う。それも時代や社会階層など、実に幅ひろい口語英語を体験できるのだ。それこそ麻薬中毒患者になったり、弁護士になったり、ビジネスマンになったり、はては中世の司祭になったりと幅広い言葉使いを学べるのである。
 
 コミュニティシアターや大学の演劇科の公演は、たいてい誰でもオーディションできる。興味のある人はぜひトライしてみよう!

2007年11月23日 (金)

スティーブ・マーチンのセリフ

 今回はスティーブ・マーチンの戯曲、「Picasso at the Lapin Agile」(邦題「ラパンジアールから来たピカソ」から。

 これはピカソとアインシュタインが、カフェで論争を交わすというフィクション。「鉛筆一本あれば優れた数式を書ける」、「いや美しい芸術を描く方が重要だ」とお互い譲らない。興奮した2人は鉛筆を手に立ち上がり、とうとう決闘することに。そこでピカソが次のように号令をかける:

 Picasso:Draw!

 次の瞬間、2人はものすごい勢いでナプキンに何かを描き始める・・・。

 と大したことのない場面のようだだが、これもちょっとした言葉遊びになっている。「draw」には「描く」という意味があるが、他には「抜く」という意味もあり、さらには決闘で「銃を抜け!」という合図にも使われるからだ(なんだか「サボテン・ブラザース」が思い出されるやり取りではある・・)。

 なお英語のWikipediaによると、初めてのリーディングは彼の自宅でトム・ハンクス(ピカソ)、クリス・サランドン(スーザン・サランドンの前夫~アインシュタイン)という豪華キャストで行われたという! 

 *日本での上演記録もウェブで見られます。

2007年11月22日 (木)

かくれた名セリフ

 「転落の後で」は、劇作家のアーサー・ミラーが、前妻のマリリン・モンローの死後に書いた作品だ。
 個人的な色合いが強く、それほど有名ではないが、名セリフがある:

Holga:
 ・・・The same dream returned to me each night until I dared not to go to sleep, and I grew ill.  I dreamed I had a child.  And even in the dream I felt that child was my life, and it was an idiot, and I ran away from it.  But it always kept climbing into my lap, and clutching at my clothes, until I thought,if I could kiss it, whatever in it that was my own,perhaps I could sleep again.  And I bent to its broken face,and it was horrible.  But I kissed it.  I think one must finally take one's life into one's own arms, and kiss it.

ホルガ:
 毎晩同じ夢を見ました。怖いので眠らないようにしていたら、身体をこわしてしまったほどです。夢の中で自分には赤ん坊がいるんです。その子は自分の人生を現していて、うすのろで、恐ろしいほど醜い赤ん坊なんです。私は何度もその子から逃げようとしました。でもそのたびに膝にのぼってきてしがみついて、どうやっても振り払うことができないんです。そうして思いました。どんな赤ん坊であれ、それは私自身であり、キスしてやることができたなら、また眠れるようになるのではないかと。そうして赤ん坊にかがみ込んで、その恐ろしい顔にようやくキスしました。人はみな自分の人生を抱きしめて、キスしてあげなければいけないんです。

2007年9月24日 (月)

隠し技

 「おかしな2人・女性版」は、冒頭からボードゲームに興じる女性達のにぎやかな会話で始まる。わかりやすいジョークもあるが、何気ない会話の中にもニール・サイモンの技が隠されている。例えば:

ヴェラ:Someone told me you were seeing a doctor. Is it anything serious?
         (医者にかかってるんだって? どこか悪いの?)
 
レネー:No. We only had two dates.
          (違うわ。二度デートしただけ。)

 このやり取りには、実は二重の意味がある。 "seeing a doctor"には「医者にかかる」という意味があり、"serious"は重い病や深刻な状態のことを指す。だからヴェラは、あくまで身体の具合のことを聞いているのである。

 しかしレネーはどこも悪いわけではなく、医者とデートをしただけだ。それも2回で終わった。実は「seeing ~(人)」には「(~)とつきあう」という意味があり、「serious」は男女関係の「本気」と言う意味がある。つまりレネーは"we only had two dates"(2回デートしただけ)と答えるだけで、ヴェラの質問に「医者とつきあっているって聞いたけど、本気なの?」というもう一つの意味を与えているのである。

 「そうじゃなくて・・」と説明するよりずっと粋だ。

2007年9月 5日 (水)

リスニングにも

 アメリカやイギリスの舞台劇がCDになったものが、ネットで入手できる。一度ラジオで放送したものを、CDにして販売しているのだ。セリフが速いので上級者向けだし、テキストが付いていないので教材向きでもない。ただシェークスピアはともかく、アメリカ現代劇(アーサー・ミラーやニール・サイモンなど)でこういったシリーズは他にないので、芝居好きにはありがたい。

 出演者はジョン・リスゴーやリチャード・ドレイファスなどのベテランから、ローラ・リニーやエリック・ストルツなどの若手ら、決して「スター」はないが映画でおなじみの実力派が多い。客を入れて録音しているようで、笑い声なども入るのでライブ感も味わえる。

興味のある方はこちらから:
LA.Theater Works

http://www.latw.org/
シェークスピアならこちら:
The Poor Yorick Shakespeare Catalogue

http://www.bardcentral.com/index.php

2007年6月12日 (火)

86?

  クイズ番組を見ていると、「こんな問題もわからないの?」という場面がよく出てくる。他のみんなが知っているのに、なぜか自分の人生で遭遇してこなかった「常識」というものが、誰にでもあるのだ。落とし穴にあうようなものだろう。

 語学の勉強は言ってみれば、落とし穴の連続である。落ちるのを恥ずかしがっていては上達しない。

 「常識」かどうかはわからないが、最近知った表現に[86]というのがある。映画「リービング・ラスベガス」の一場面で、ニコラス・ケイジがバーテンダーに言うセリフの中に出てくる。

「Please, serve me today. I'll never come in here again. If I do,you can 86 me.」
(たのむから今日は飲ませてくれ。もう二度と来ないから。もし来たら、そのときは断っていいから)

 最後がどう聞いても「86」(eighty-six)なので調べてみると、「拒絶する、断る」「客に食事や酒の提供を断る」とある。お酒を飲まないのでバーに行ったことがないのだが、お酒を飲む人には馴染みの言葉なのかもしれない。

 前に海外生活での「経験値」について書いたが、ドラマや映画はこうしたたくさんのことを補ってくれる。

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